2011/10/10

あの鳩かも?

人気のない公園の木陰。

餌付けされた群れのなかから、一羽の鳩が近づいてきた。

わたしとの距離は3メートルほど。

じっとわたしを見つめている。雌鳩である。

「どうした?」

そっと声をかけてみた。すると。。。

その場にしゃがみ込んでしまったではないか。
首をかしげかしげしながら、わたしから目を離そうとしないのだ。

「そうか!」、と思うがはやいか、涙がこぼれそうになった。

「あのときは仕方なかったのさ、辛かったろうに。」


数か月ほどまえのこと、友人からこんな電話があった。

「ベランダの隅で鳩が卵抱いてるのよ、それもふたつ。。。」

気の重い仕事ではあったが、頑として動かぬ母鳥をなんとか追い立て、簡素な巣に残された卵二つを巣ごと、近くの公園の灌木の根元あたりに移動させた。


わたしはちょこんと伏した雌鳩を見つめながら、無事ふたつの卵が孵化したことを確信した。

ツツーっと片目から涙が流れ、そして落ちた。

Oh my soul!

わたしの呻きに驚いたのか、雌鳩は飛び去った。


「申命記」22章6節7節に気がついたのは、その後のことである。