2013/10/23

もいちどアナ・ヴィドヴィックを

あまりにもか弱すぎる右指のタッチ。しかしそのつど裏切ることなく産み出されてくる、強くて嫌みのない鮮明な音質。彼女の天才はその不思議に尽きる。

そのタッチと音質の関係は、パラド(ッ)クスや因果ではない。「弱ければ弱いほど強くなる」のでも、ただ「弱いから強い」というのでもないのだ。あえて申し上げれば、「受肉」である。この世一切の「強さ」からモイラの凶暴と悪戯を飲み干すため、ただそれだけのために「弱く」あり続け、ときに「怯え」てもいるのである。

彼女がそのことを知らないのは当然だ。なら使徒パウロはなぜ知っていたのか???